たべるの

メッセージボトル

2016年9月6日
高橋 忠和高橋 忠和

残暑厳しい8月の後半から、畑は冬野菜の準備に入る。
汗をボタボタと落としながら草を刈り、堆肥と石灰を撒いているが、
畑を耕し、畝を起こし、種を蒔いて、それが芽を出し、葉を伸ばして、ついに収穫できるようになるのは10月の終わりごろ。ずいぶん先の事に思える。

寒い時期に種を蒔くとき、この種が成長して収穫できるようになる3ヶ月後の温かい季節を夢見るのは比較的容易いけれど、こんな蒸し暑い日に涼しい季節の収穫を想うのは難しい。温かくなるのを願うのは身体だが、涼しくなるのを期待するのは身体ではなく、アタマなのかもしれない。暑い暑いと言いながら、身体は夏に未練がある。だからジャガイモの植え付けや夏野菜の準備は、温かい季節に向けて先走りしがちだが、冬野菜は逆に、後手を踏む。


ダイコン、ニンジン、ホウレン草。まだまだ暑いからと種蒔きが遅れて失敗したことがある。
タイミングが遅れてしまうとハクサイやキャベツの育ち方も違ってくる。
何回か、何年かのしくじりから学んだ。8月から冬野菜を始めるのだ。



あんなに晴天が続いた今年の夏も、ここに来て雨が多くなった。台風もやってくる。
その隙間を縫うように、僅かな晴れ間を見つけて畑に出る。
汗をボタボタと落としながら冬野菜を植えていく。
今はまだ遠い、秋や冬に向けて。

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