たべるの

春はユンボにのって。

2014年2月7日
高橋 忠和高橋 忠和

冬が畑を覆っています。
弱い陽の光を受けても霜は消えず、動くものなく、畑は冷たく静まり返っています。
この一番寒い時期に、今年の新しいジャガイモ畑を拓きます。

畑を広げたいけれど周りはツツジやツゲの木がいっぱい。
これを掘り起こすのは人力では無理でした。
葉山からユンボが助けにやって来てくれました。

樹木の茂みは茶色の固まりのようになって地面にうずくまっています。
それをユンボの鉄の爪がベキベキベキッと打ち砕き、押し倒します。
ひと株ごと、枝を、幹を、グシャッ、バキッ。
命など枯れているように見えていても、裂けた幹、折れた枝から、生木の色が見えるとドギマギしました。

また、地面の上からは見えないけれど、樹木は根を深く広く伸ばしていました。
ひと株掘り起こすとずいぶん大きな穴ができて驚きます。
引っこ抜いた根株とともに、奥からキメの細かい、ギッチリ詰まった感じの濃い土がゴボッと溢れてきました。

土の匂い。命の匂いが漂い始めます。
溢れた土の中から、あれはカブトムシの幼虫か。こっちにはトカゲだ。
いつもならやって来るハクセキレイが、今日は姿を見せません。
まだ冬だからと、高をくくっているのでしょう。
かわりに小さな羽虫がいっぱい。

ユンボが畑の冬を引き剥がして、10m x 8mの新しい畑が生まれました。
冷たく沈んでいた空気が、いつのまにか新鮮な土の匂い、命の匂いに満たされています。

畑に春がやって来ました。

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