秋を始める。
高橋 忠和
葉山の田んぼに赤いネットがかかっていました。スズメ除けのネットです。
去年はみんなで大騒ぎしながら稲の上に広げた赤いネット。
「この2〜3日、急にスズメが集まってきたので、ネットを張っておいたよ」
石井さんと碓井さんの2人で、去年の4倍にも大きくなった田んぼに、ネットを張ってくれていました。
どうですか、ちょっと幻想的な美しさでしょ。
「うちの田んぼは、もう何年も前からネットなんて張っていないな。このネット張りをやると大騒ぎ。もっと前だ、もっと上だ、こっちに引っぱれ、しまいに大げんか。やめちまったよ」
鹿島さんのところの金ちゃん親子はそう言って笑っています。
「ほう、オクラの背がずいぶん伸びたなぁ。180cmくらいになったか」
「カボチャやトマトは終わりにしようと思うんだ」
「ナスはまだまだ採れそうだけれどね」
東屋の前には、ブロッコリー、白菜、プチベール。植え付けを待つ苗や種が広げられています。
「う〜ん、まだちょっと早いんだよ。土の温度が高くても苗や種には良くない。この前の秋ジャガの植え付けのときなんか水を撒いて温度を下げたぐらいさ」
葉山では、蝉の声が治まって、人の声が賑やかになってきました。
野菜の収穫も嬉しいけれど、これから始まる種蒔きや苗の植え付けは、
なんとも言えぬ幸福な気分が味わえるのです。みんなワクワクしています。
さあ、秋を始めますよ。
さいこ
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