たべるの

光る風。

2011年8月29日
高橋 忠和高橋 忠和

6月12日の田植えから10日ほどで若い稲は活着しましたが、その田んぼに早くも雑草が生えてきたのです。6月いっぱい7月の初旬まで、田んぼに入って雑草とりに追われることになりました。しかし我々の草取りは、1本の雑草をとるために1株の稲を傷つける。傷つけるまでいかないにしても、田んぼの泥をデコボコにして新たな雑草が生える下地を作ってしまう。「あらあらあら」
「もう君たちは田んぼに入らなくていいから、畔から手の届く範囲の草を取ってよ」
碓井さんが1人で田んぼの中に入って草を取り、泥の起伏を均してくれたました。

田植えから25日目あたりから、稲の分けつが始まります。1株につき3本の苗を植えましたが、その3本の苗がそれぞれ6〜7本の茎になり、1株全体では20本の茎数に成長します。見た目にも、ぐんぐん逞しくなってきて、田んぼ全体にビッシリと稲、という感じになってくる。
「やっぱり株間、条間25cmは狭かったな」「来年は30cm、いや35cmでも良いかもしれない」
稲の株の密度がつまり過ぎると、稲の成長とともに、それぞれの株に陽当たりが悪くなる。水中、地中から発生するガスがこもりやすくなる。風の通りが悪くなって、病害虫が発生しやすくなります。

毎日の水の管理とともに、碓井さんは、田んぼの畔の草を綺麗に刈り取ってくれました。田んぼの稲に吹く風を遮ることがないように、あたりの樹や草も刈り上げてくれました。

この手の掛け方が功を奏したのか、今年の稲は病気知らず、害虫知らず。まったくの無農薬で暑い夏を順調に成長しています。8月初旬、いわゆる中干しの時期になりました。田んぼから水を抜いて土の中のガスを抜き、稲の根に酸素を補給。田んぼの泥に軽くひび割れができたら一旦水を入れ、また干してまた水を入れる。稲に力をつけるのです。真夏の太陽が田んぼに照りつけます。山から風が吹いてきて、ザザザッと稲を揺らすから、キラキラ光る稲の葉が、まるで波のように動いて、ああ、美しい。

わたし達の田んぼは少し遅めの田植えでしたから、8月末あるいは9月初旬、ちょうどこれから出穂期を迎えます。

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