「咲かずに伸びている」徒長苗。
徒長(とちょう)。いたずらに伸びてしまった苗。徒長苗。
週末農業を始めて6年目になります。基本的なことは葉山で先輩たちから教わりましたが、この3年は横浜の畑に場所を移し、自分たちだけで年間に20数種類の野菜を育てています。
まだまだ分からないことも沢山ありますが、最近はそれなりに自信もできてきました。
私たちの畑の野菜は、どれも大きく豊かに実り、美味しい。しかも安全です。
私たちの野菜は、種蒔きから育てるものもありますが、苗を買ってきて育てる野菜もあります。
基本的には、種を蒔いて次に見るのが一週間後という週末農業ですから、発芽から育苗まで、手厚い管理をしなければならないような野菜を、種から育てることは難しいのです。
そんな野菜は、プロが作った苗を買って、それを育てるわけです。
しかし、できるなら苗作りから自分たちの手でやりたい。
いくら良い野菜を作れるようになったとは言え、苗から育てなくちゃ本物じゃないでしょう。
比較的苗作りが容易と言われる豆科のスナップエンドウと絹さやの苗を作ることにしました。
育苗ポットに、畑の土をフルイで細かく漉して満たし、そこに堆肥を少し混ぜて培養土としました。
その育苗ポットを、温度管理と水の補給のため、だれかが毎日チェックできる「たべるの」のオフィスに持ち込みました。
オフィスの日当りの良い南側の窓際に、育苗ポットを並べる棚まで作りました。
しかし良い苗を作るのは難しい。
10月7日(火)スナップエンドウと絹さやの種を蒔いた。
10月14日(火)発芽しました。
10月17日(金)グングン伸びる苗。
10月21日(火)これは伸び過ぎだろう。こんなヒョロヒョロでは定植しても冬を越せない。
う〜ん。種を蒔いたポットに肥料を混ぜたのが徒長の原因か。いそぎ第2弾として化成肥料なしの種蒔きをする。
10月30日(木)第2弾の種蒔きの結果も前回同様。徒長苗だ。
ネットで「なぜ徒長したのか」あらためて調べてみました。
徒長の原因。
1.日照不足。やはり直射日光が必要なのだ。
2.水分過多。水のやり過ぎ。
3.高温。もちろん温度が低すぎてはいけないが、夜は温度を下げるべき。
4.肥料過多。とくにチッ素肥料が多すぎると徒長する。
みごとに全部当てはまっていたのです。
野菜作りに対する自信は、見事に崩壊。
このヒョロヒョロ苗を畑に持っていき定植しても、冬の寒さを乗り越えられないかもしれません。
仮に冬を越えられたとしても、徒長苗は根が少なく、花の素質が不良で、落蕾、落果、空洞果が発生しやすいと言われています。
ここまで育ったものを捨ててしまうのも哀れですが、来年春になって、スナップエンドウや絹さやを収穫できないのはもっと悲しい。
一方で、育苗を室内でやっている以上は徒長は避けられない。定植後、うまく育てればちゃんと花も咲くし、実も結ぶという報告もあります。
みんなと相談して、今シーズンは、畝の半分はこれから市場に出てくる市販の苗を買って育てよう。
あとの半分は、この徒長苗を、なんとか育てて、どうなるか見てみようということになりました。
「伸びずに咲いている。」大好きな山頭火の歌です。
私たちの徒長苗は「咲かずに伸びている」残念。
今しばらくは東京のオフィスで、ベランダに出して外気に当て、少しは逞しくなるよう苗を育てます。
11月半ばになったら、畑に定植することにしましょう。
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