たべるの

種の蒔きごろ、苗の植えごろ。

2013年11月26日
高橋 忠和高橋 忠和

桜の見ごろ、紅葉の見ごろ。
「今週末あたりじゃない」「いや、もう少し先でしょう」
蕾のふくらみ具合、葉っぱの赤くなり加減を見て、私たちは判断していますが、
同じように畑の野菜にも、種の蒔きごろ、苗の植えごろというものがあります。

たとえばハクサイ。
去年の栽培日誌を確認したり、まわりの畑の様子もチェックしていますが、
なんといっても判断の拠り所になるのは気温の変化です。

横浜あたりでは、これまでハクサイの種蒔きは、8月末から9月の始めと言われていましたが、
実際には発芽の適温は20℃から25℃。
今年など気温が25℃まで下がったのは9月の末でしたから、種蒔き適期の判断は難しいところです。

種蒔きが早すぎると苗が害虫の被害にあいやすい。
遅すぎると、その後の成長スケジュールがどんどん遅れ、葉が重なり合って球のようになる結球がうまく出来ないことになる。
発芽してから30日ぐらい、苗の本葉が4〜6枚に成長する間の最適な温度は20℃ぐらい。
ポットから畑に苗を定植する時の気温は18℃から20℃が望ましく、
定植してからやはり30日ぐらいのハクサイの結球開始時には、気温13℃から15℃が適温とされています。
種を蒔いてから結球開始までの2ヶ月の気温が、最初は25℃、2ヶ月目に15℃となってくれれば理想なのですが、そうはうまくいかないですね。
それではどこに照準を合わせるか。
プロの農家の方々は、ハクサイの種の蒔きどきも、苗の植えどきも、それほど猶予はなくて、タイミングはシビア。どちらも適期5日ほどのうちにやってしまわないとその後うまく育たないと言います。

たまたまかも知れませんが私達の畑では、どうやら今年はそれがうまくいったようです。
9月22日に定植したハクサイの苗は順調に成長し、これまで私たちが育てたどのハクサイよりも外葉が大きく広がって、11月の初旬から結球が始まりました。
このあと気温が下がって、葉玉が大きくギュッと締まってくれば、おいしいハクサイの出来上がりです。

ハクサイの栽培には、どんな種、どんな苗を使うか。肥料の種類や、量、施肥のタイミングも重要ですし、害虫対策は欠かせません。
しかし、一番大切なのは成育環境の温度です。
気温の変化とハクサイの成長のタイミングをうまく捉えること。

最近はエアコンのお世話になる暮らしのため、暑さ寒さに捕われることが少なくなり、ともすれば季節の変化にも鈍感になりがちですが、それでも花を見る、紅葉を鑑賞するのはお天気しだい。
私たちが口にする野菜も、種の蒔きごろ、苗の植えごろ、やはりその土地のお天気に従うのです。

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