たべるの

春に追われて

2016年2月23日
高橋 忠和高橋 忠和

日が沈んでも電灯をつければ全てが見える。雨が降ったら屋根の下、風が強ければ部屋の中。寒ければ、また暑ければエアコンがあるし、水道をひねれば水が出る。暮らしに不便はない。お腹が空けば冷蔵庫になにかある。なければスーパーマーケットに行けば食材はよりどりみどりだ。自分で作るのが億劫ならレストランへどうぞ。24時間OKだ。
私たちの暮らしは、もはや自然に左右されることがなくなった。

はずだった。

ところがどうしたことか、私の身と心が季節に合わせて動いている。
畑を始めて7年だ。


大雨が降ればオロオロするし、日照りが続けばハラハラする。酷暑の夏にグダグダになって、冬の寒さに震えている。寒さがようやく薄らいで、柔らかい陽射しに気づいた日は心底ホッとする。

じつは年が明けた頃からソワソワした感じはあった。節分、立春をすぎるとそれは確信に変わった。
今年は春が早い。

春の予感に急き立てられるように動いた。
畑に堆肥を撒き、トラクターで土を起こし、種芋を陽光に晒して発芽を待つ。


これまでならジャガイモの植え付けは3月初旬。なのに今年はこんなに急いでいる。
どうしてか。春に急き立てられているとしか思えない。


アフリカで、草を求め、雨を追って大移動する草食動物たちをTVで観たことがある。
あれのようだ。

2月21日(晴れ)ジャガイモの植え付けを完了。
季節に左右される暮らしに、私はなっている。

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