たべるの

夏色、夏味。

2014年8月22日
高橋 忠和高橋 忠和

今年も暑い夏だった。
あんまり暑くて、身も心もドローンとしてしまいそうで、
だから夏ってドロンとしたものだと思いがちだけれど、実はそうじゃない。

台風の影響で、ジャガイモの収穫がいつもの年より遅く、6月の後半になっていた。
ジャガイモの収穫と同時にズッキーニの収穫が始まっていた。
それが今年の夏野菜の収穫の始まりだった。
畑が夏の光に輝いていた。
夏野菜は、全部豊作になると予感した。
翌週はインゲン、そしてエダマメが大量に採れた。口に入れると香りが素晴らしかった。
さらに次の週からはナスだ。そしてトマトだ。ピーマンだ。
紫、赤、緑色。ツヤツヤの夏の色。
畑で採ってその場で齧るとよく分かるけれど、どれも甘い夏味。
こんなに綺麗な、そして美味しい夏野菜は初めてだった。

この他には、ニンニクが採れた、ラッキョウも採れた、オクラも採れた。
夏野菜全体で見れば6月末から8月いっぱいまで、およそ2ヶ月収穫は続いたけれど
収穫の主役は次々に変わっていく。
それぞれの作物の、一番輝いて美味しいのは、じつは一週間ぐらいしかない。
ジリジリ照りつける太陽。
最高の実りは、その作物の汗なのか、涙なのか。
ナスの、トマトの、ピーマンの、一瞬の夏色。夏の味。

長い時間畑にいると、人間は暑さで頭がクラクラしてくるけれど、
夏野菜は、その暑さの中でクッキリと、生まれて、育って、実をつけ、朽ちていった。

今年の夏野菜の美しさ、美味しさは、鮮烈だった。

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