たべるの

冬の畑

2011年12月16日
沢樹舞沢樹舞

夏の畑のことを書いて以来、すっかりご無沙汰してしまい申し訳ありません。
今年の秋は駆け足で過ぎてしまいました。
まだ残暑が残る9月から10月に掛けて、冬野菜の種蒔きをしたり苗の植え付けをしたり。
その間に台風がやって来て、夏の名残を残す畑の景色を一変させてから、
瞬き3回ほどの間に、畑は冬野菜で埋め尽くされていました。
今年の秋は気温が高かった影響か、野菜の成長が本当に早いのです。
さらには、わたしも仕事が忙しくて随分と畑をお休みをしてしまったせいで、
秋をすっ飛ばして、冬の畑にやって来た…そんな気分です。

畑では今、冬野菜の収穫が真っ盛りです。
野菜といえばカラフルな夏野菜をイメージしますが、
実は冬が最も賑やかな季節なんだと知ったのは、こうして畑に通うようになってからです。
大根、蕪、人参、ネギ、白菜、ブロッコリー、キャベツ、小松菜、ホウレン草、春菊、水菜、プチヴェール…ざっと挙げただけでこの数。
秋の間、野菜達のお世話は石井さんにお任せっきりだったのですが、
「この列の蕪は沢樹さんが種を蒔いたからちょっと窮屈だなぁ」
気をつけて指3本分空けて一粒づつ蒔いたはずなのに…反省すると同時に、
自分もちゃんと農作業に参加しているんだという実感が湧き、
やっぱり畑で過ごす時間はわたしにとって特別に楽しいものだなぁと思います。

これからしばらくの間は、これといった作業があるわけではなく、
畑ではもっぱら「収穫」をしたり、山仕事を手伝ったり、漬け物を漬けたりして過ごします。
冬の休日、晴れ渡った空の下で過ごしていると、
秋のバタバタとした自分の様子や、こまごまとした世間の事情が、
本当に小さなことに思えてしまう。
蒔いた種が芽を出しやがて大きな実りをわたし達にもたらしてくれる。

今年は本当にいろいろあった年でした。
震災の直後は余震や停電の影響から畑を休まざるを得なかったし、
原発事故の不安は畑から子供達の賑やかな声を奪いました。
それでも、種を蒔いて、野菜を育てた。
田植えをして、お米を育てた。
多くの哀しみや憤りも、畑をやっていることで、違う感じ方をする自分がいます。

自然の中で自然と生きる。
今週末はたべるのの田んぼで穫れたもち米で餅つきをします。
去年とは違う、3回目の冬の畑です。

コメント