畑の野菜と料理 by 増田喬子
昨年参加したのが9月からだったので、畑の夏を経験するのは初めてだった。汗っかきな体質なのか、沢樹さん達おすすめのタオルマフラー2枚を1日でびっしょりにしてしまうほどだった。平日は室内での仕事なので、いくら節電の夏だったにしても基本的に空調のきいた建物内に6日間いることになる。そのあとに野外で一日を過ごすのだから体が暑さになかなか慣れてはくれなかった。ただ週に一度くらいは思い切り汗をかく機会があるというのもスポーツに無縁の大人には大切なことなのかもしれない。
夏野菜がたくさん収穫できるようになってから、畑でいくつかの家庭料理を教えてもらった。夏野菜の天ぷらは自分でも作っていたが、煮天ぷらというものを初めて知った。揚げた天ぷらをつゆにつけて置いておくというだけのものだが、衣に味がつくので翌日に食べてもおいしい。ただネットで煮天ぷらと調べてみたがみつからなかった。仕方ないので、つゆの作り方は教えてもらったものをベースにかなりいい加減なものだが、気に入ってこの夏は頻繁に食べた。もう一つは唐辛子の煮びたしだが、大量の唐辛子を消費できるので作ってしばらく保存したりもしていた。がくをとった唐辛子をめんつゆで煮るだけなので手間もかからず、副菜としてよく食べた。
そして数週間前から冬野菜の季節になっている。ここしばらく大根と白菜をどうやって食べきろうかとずっと考えているような状態だが、畑にいくとどう料理したらいいかを教えてもらえる。スーパーに行って野菜を買うとなると、まず献立を考えて必要なものを買うけれど、畑に行ってその週にとれる野菜を使うとなると作ろうと思うものが違ってくる。きっとスーパーで買った大根を干してみようとは思わないだろうし、そもそも小さくカットされた大根しか買わないだろう。蕪をらっきょう酢で漬けることもしないだろうし、白菜は鍋以外の料理にはなかなか使わないかもしれない。プチヴェールやターサイなんて売っていても買おうともしなかった。料理が得意ではないのでオリジナリティーあふれるものを作ることはできないが、畑に来ていなかったら作っていないであろう料理を作るのはなかなか面白い。畑での作業とは少し違うけれど、畑に行くからこそのことなのだろうと思う。
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