たべるの

桜とジャガイモ

2016年2月2日
高橋 忠和高橋 忠和

私たちの畑の新しい1年は、ジャガイモの植え付けから始まります。
種芋を植え付けてからおよそ3週間で地表にジャガイモの芽が顔を出すのですが(萌芽と言います)、
それがちょうど桜の花が咲く頃であるように逆算して、タイミングを見計らって植え付けます。
たとえどんなに良い種芋を手に入れたとしても、どんなに良い肥料を与えたとしても、ジャガイモの生育の善し悪しは結局のところ自然の力、日照、気温、降水量に支配されます。
桜の咲く頃にジャガイモの萌芽というタイミングが「日照も気温も降水量もちょうど良い」と先人たちが教えてくれています。例年ですと桜の開花は3月末ですから、その3週間前、つまり3月初旬にジャガイモの植え付けとなります。

ところが今年はどうでしょう。確かにこの2週間は厳しい寒さになりましたが、昨年末からお正月にかけては記録的な暖冬でした。桜はいつもの年のように3月末の開花なのか。それとももっと早い?

ジャガイモの種芋を箱から出してみると、すでに芽が出ていました。いくらなんでも早過ぎる。これもやはり暖冬のせいでしょうか。しかも陽の当たらない箱の中での発芽ですから白っぽいひょろひょろしたやつです。
これはいったん芽を摘もう。芽欠きします。柔らかい2cmぐらいの新芽は指で擦ると簡単にとれてしまいます。

つるりと芽を失くした種芋を日当りの良い廊下の窓際に並べました。
「浴光催芽」と言います。
ジャガイモは今年の1月にはそれまでの比較的暖かい気温のため「お、そろそろ行くか」と判断したのでしょうね。芽が出た。それを「まだ早いよ」と芽欠きした。そしてあらためて浴光催芽でもう一度新しい芽を出せと言っている。
身勝手なやり様ですが、十分な陽射しとほどほどの温度、湿り気のない環境は、新しい芽が出るのを促します。
うまくいけば2週間後には黒紫色でしっかりした新芽が出てくるはず。
そうなると2月半ば過ぎにジャガイモの植え付けをすることになりそうで、桜は3月半ばに咲いてもらわないと困る。はたしてそんなにうまくいくのか。

東京の街は桜の街路樹が多いです。今は寒風に枝が震えています。3月半ばに桜の花は咲くのかなぁ。
芽が出る。芽を摘む。芽を出す。御芽出度う。おめでたい。
桜とジャガイモ。

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