たべるの

畑と害虫

2015年11月17日
高橋 忠和高橋 忠和

午前中までの雨が上がり、陽が射してきたので、畑に行ってみました。先週も雨のためお休みにした畑ですが、ちょっと気になっていたことがあったのです。今年の秋の気温や雨の量が影響していると思うのですが、例年になく害虫が暴れまわっている。最低限度の防除はしていても一週間見ていないととても心配。で、これです。


やられました。
ボロボロになった外葉を外していくとヨトウムシが隠れていた。形状はアオムシのようだが体が褐色です。ヨトウムシはヨトウ蛾の幼虫で、キャベツやハクサイなどアブラナ科の作物だけでなく、それこそなんでも食べ尽くす畑の作物の大敵なのです。成虫である蛾が作物の葉っぱに卵を産みつけて、それが孵化して芋虫のような幼虫になり食害をなすわけですが、防除法法としては、まず蛾が寄り付けないように、卵を産みつけないように、防虫ネットで作物をガードする。防虫ネットに収まらないほど作物が生長したらあとは丸裸の露地栽培になるになるのですが、キメの細かいチェック、早期発見、これにつきる。やむを得ない場合は農薬散布。そんな風にして作物が成長するのを守ってきて、これまでは大概うまくいっていたのです。でも今年はダメでした。

昼間は茂みや土中に潜んでいて、夜に活動するから夜盗虫ヨトウムシなのですが、こうやってキャベツの葉の中に潜り込んでしまっている。ヨトウムシにとっては一日中陽の当たらない棲家で、そのまま食堂というわけです。やりたい放題。

このにっくきヨトウムシを取り除いて、喰い荒らされた葉を外していくと、ああ、また別のヨトウムシがいる。わたしのキャベツを寄ってたかってムチャクチャにしている。体がかっと熱くなりました。こいつも殺して喰われた葉っぱを外していきます。私の手に泥がついているからキャベツがどんどん汚れてしまう。水をかけて泥汚れを落としながらすっかり綺麗になるまで葉っぱを剥いていくと、一抱えもあった大きなキャベツが掌に収まる小さな塊になっていた。

畑をやっていると他では得ることのできない喜びや感動がいくつもあります。
冬は超特大に育ったハクサイやキャベツ。
春の大根の大豊作。
初夏の食べきれないほどのジャガイモ、そらまめ。
夏になれば鈴なりのトマト、ツヤツヤのナス。ズッキーニ。
秋の稲刈りも忘れられない思い出です。

そんな記憶があるから余計にこの手の中のキャベツが哀れに思える。
害虫に対して、そしてそれを見過ごしていた自分に対して怒りを感じます。それから悲しくなりました。

さんざん喰い荒らされたハクサイはあきらめて棄てました。小さくてもなんとか綺麗になったキャベツは持ち帰ることにしましょう。足元に散らばった野菜の葉をかき集めて掃除します。
現実は悲しいこと、残念なこと、反省することの方が多いのです。
それでも、あの喜びの季節を忘れることはできない。

来週からまたやり直しです。

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