たべるの

やさしくなれる秋。

2011年9月29日
さいこさいこ

暑い暑い夏が終わった。日はうんと短くなり、夕方ともなると肌寒いくらいの畑となった。台風の影響もあって、トマト畑とゴーヤ棚が一掃された畑は、まさに秋景色。ブロッコリーなども定植されたばかりで、この季節の畑は「土」色が大半をしめる。ただし、秋は短い。夏の暑さが長びき、油断していればすぐ寒くなるこのごろ(最近はファッション・流通業界でも秋物がへったとか)。

その短い秋。楽しみのひとつは、耕し、種をまくことである。いつもの大雑把を横におき、ちゃんと育つようにと願いながら丁寧に種を扱っていると、なんだか少しだけ「ちゃんとした」人間になれた気分になる。おおいなる勘違いなのだけれど、自分の中のやさしさに満たされるのだ。芽を出すのは偶然、枯れるのは必然。誰かがつぶやいていた「哲学だなぁ」な言葉を思いだしながら、種を土で覆い掌から願いを伝える。

もうひとつの楽しみは、やはり旬の収穫物。試しに掘り起こしたサツマイモ、栗林を掃除したご褒美のような栗、雪化粧という品種の南瓜。どれも、ほくほく「女子が好む」という、芋・栗・南瓜をセットで持ち帰った。実は、若い頃は全く好んでいなかった類。女子だからといって好きとは限らない!と言い放ち、モンブランケーキをほおばる男子に冷たい視線をむけたりしたものだ。ただ今は、ごく自然に好きである。なぜだろう、いつからだろう。時間はかかったが、少しは女子度がアップしたということか。さて、目をハートにして、美味しくいただこう。

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