キャベツで、ほどける。
キャベツ。とても当たり前に食べてきた、この野菜のおいしさを痛感している。なぜなら初挑戦、初収獲、初激旨のキャベツを、畑から持ち帰り食べているからである。初挑戦といっても、春にじゃがいも畑だった場所を片付けたくらいで、植え付けはやっていただいたし、ネットをはったりはずしたりのタイミングもそこにはおらず、成長を横目で見ていただけ。棚からぼた餅ならぬ、畝から大玉キャベツであった。
苗が育つ、外葉が大きくなる、蝶がやってくる、青虫から守る、中の葉がやがて結球していく。その経過は、想像以上にはやく、何より鮮やかで美しかった。寒さが増すにつれ、ぎゅっと葉を密集させ重ねていった、その大玉には、ほとばしる力が詰まっていた。
だからだろう。冬キャベツには、ほどける美味しさがある。乱雑にちぎった切口から伝わるみずみずしさも、やわらかく茹でた葉からにじみでる甘さも、何かから放たれ、ほどけるように、口の中で広がっていくのだ。ぎゅっと包括されていた生命が、一気にほどけ、やさしさに変わって体にしみわたっていく。ああ、私もほどける〜。
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