たべるの

雜人、雑草を刈る。

2015年6月19日
高橋 忠和高橋 忠和

「雑草ということはない」というのはお上のお言葉。
どんな草にも名前や役割はあり、人間の都合で邪険に扱うような呼び方をすべきではない、という意味だそうです。
「雑草」と呼び捨てている「草」にも、学べば、ひとつひとつ名前があることを知るわけですが「君はサトイモではない」「ナスでもない「ダイコンのわけはないよな」「じゃあ、雑草」
雑人(ぞうにん)である自分が、こちらの都合、人間の勝手で、雑草を刈っているのです。

今日はあれをしよう、これもやろうと、計画を持って畑にやってきても、「うわ、草だ」「すっごい、伸びてるよ」この季節、まずは草刈りから畑の作業は始まることになります。

朝から始めて延々終わらぬ炎天下。私はしだいにクラクラしてきます。
草刈りが終わる頃にはヘロヘロで、その日予定していた作業をあきらめることさえある。
しかも、これだけやっても、雑草は一週間たったらまた生えて来る。

雑草図鑑という本があって、雑草の名前を知ることが出来ます。
お上のお言葉通り、雑草にも名前はある。しかし、酷い名前なのですよ。
「ヘビイチゴ」「ギシギシ」なんていうのは可愛いもんだが、「オオイヌノフグリ」に「ワルナスビ」ですよ。さらに「ハキダメギク」「ヘクソカズラ」ですから。
愚かで身勝手な人間の、草に対する悪意と憎悪が、草にこんな名前をつけさせたのか。

そもそも雑草の何が悪いって、いろいろあります。
まず、作物に与えたつもりの肥料を横取りして、雑草の方がグングン成長する。
大きくなった雑草は陽を遮り、畑に吹く風の流れを止めてしまう。
作物につく害虫はどこから来るのか。畑のまわりの雑草の中に潜んでいて、作物が来るのを待ち構えているのです。雑草は害虫の温床である。
だから今日も草を刈る。刈り続けるのです。

しかし、人間が畑の世話をするのを止めたら、雜草を刈るのを止めたら、どうなる?
たちまち作物は枯れ滅び、雑草だらけの世界になります。
そうです。元々ここは、雑草の世界なのだから。
「あれ?」

そう考えると、人間の雑草に対する敵意も、「身勝手なもんだよ」と思い知る。
ジャガイモが大事。ズッキーニが大切です。
私は雑人。雑草を刈り続ける愚か者です。

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