たべるの

田の草野郎

2012年7月26日
高橋 忠和高橋 忠和

7月22日は、葉山の田んぼの草取りをしました。
田植えの前に肥料を撒いた他は、今年も葉山の田んぼには、農薬、除草剤など全く使っていませんので、稲の成長とともに雑草も伸びてきます。

水田雑草と呼ばれる中で代表的なものが、ウキクサとイヌビエ。
ウキクサが田の水面を覆い尽くすと、水温の上昇を妨げ、稲の生長に影響が出ますし、イヌビエなどは稲とそっくりの外観で、稲より勢いよくはびこって土の肥料分を奪い取るので、やはり稲の生育を阻害するのです。

畔を壊さぬように大股で、片足を水田に入れるとズブズブと泥に沈み、膝あたりまで水につかります。もう片足も泥の中へ入れてバランスをとる。腰をかがめ、両手を水の中、泥の中へ広げて旋回させると、この時期、すでに稲の株は田んぼの泥に根を張っていて思いの他しっかりした感触。それに比べると雑草の根や茎は柔いものです。根っこから引き抜きます。さらに指を開いて泥の中を滑らせる。雑草が両手いっぱいになったら、それを田んぼの泥の中に埋め込むのです。しっかり埋め込めば草は生えてこないし、肥料になる。自分の立っている2m四方の雑草を始末できたら、稲の株を痛めぬように慎重に前へ進み、また腰を折り曲げ、泥の中へ手を広げる。

昔の人が「田の草野郎」なんて言って嫌っていた田の草取りも、今は除草剤を使えば雑草の発生を大幅に抑えられるし、農薬を使うのがいやなら、例えば深水農法といって、田植えからしばらくの間、田んぼの水深を深くしたり、あるいは合鴨、カルガモ農法といって、田んぼに鴨を放つことで雑草の成育をかなり抑えることもできるようになりました。田の草取りの機械もあります。しかし、それでも最後は人の手。

田んぼの中で腰も下ろせず、膝をつくこともできず、長い時間苦しい姿勢を続ける田の草取りは、やはり現代の稲作の作業の中でも最もキツい作業かもしれませんね。

コメント