たべるの

ガラコンとトウミ

2010年11月11日
高橋 忠和高橋 忠和

稲刈りをしたあと、お米が私たちの口に入るまでには、まだいくつもの作業行程があります。

●稲架掛け(はさがけ)
稲を乾燥させます。
●脱穀
乾燥させた稲の穂先から籾を落とします。
●籾すり
籾から籾殻(もみがら)を取り除いて玄米にするのです。
●精米
玄米から糠(ぬか)を取り除く作業です。これでようやく白米になります。
 

もっとも、今の日本の農家は機械化が進んでいて、コンバインという大型農機で稲刈りから脱穀まで一気にやってしまいます。少し規模の小さい田圃なら稲刈りはバインダーという機械、脱穀はハーベスタという機械を使っています。


しかし、私たちの田んぼのような、ものすごく小さな規模で、収穫した稲もわずかな量だと、現代的な農業機械が使えないのです。大型の農機から見たら私たちの稲は誤差の範囲、機械のゴミと間違えられる。それほど量が少なすぎるらしい。
どうしたら良いだろう。石井さんに相談しました。
「う〜ん、そうだな。脱穀は手作業でやるしかないだろうね。昔の農具を探してくるしかないな」

これが今回、石井さんが調達してきてくれた脱穀機。足踏み式脱穀機です。その作業音から「ガラコン」とか「ガーコン」なんて呼ばれています。大正時代から昭和30年代ぐらいまで使われていたそうです。よく見つけてきましたね。昔のミシンのように足で踏むと中の円筒状の櫛が、それこそガラコン、ガーコンと音を立てて回転します。

ここへ稲束を差し出すと、稲穂から籾が外れるのですね。
 

ガラコンの横にあるのはさらに年代物みたい。「唐箕トウミ」という機械です。なんと江戸時代から使われていた道具です。

脱穀した籾には、きちんと実の入った籾のほかに、カラの稲穂とか藁屑とかが混じっています。これを選別する機械です。もともと選別作業は、箕(み)あるいは手箕(てみ)という道具で籾をザッザッザッと煽ってやっていました。

そこに登場したのがこの唐箕。箱の中では、木でできた風車が回って風を起こします。上から投入された籾を、一番重い実の入った籾は一番手前に落とし、最も軽い藁屑は遠い三番口に吹き飛ばす。その中間の重さの、籾か屑か微妙なやつは、二番口に落とすという仕掛けです。


ガラコンもトウミも、石井さんの親戚の家に保管されていたそうです。しかもちゃんと動く。現役です。
これがあと10年もすれば、両方とも博物館に行かないと出会えないということになっているかもしれませんね。

日本の農業機械の歴史を学んだりしながら、脱穀は完了です。籾3升ぐらいかな。
ご指導いただいた石井義房さん(よっちゃん)鹿島金次郎さん(金ちゃん)ありがとうございました。

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