たべるの

暖冬大根。

2016年1月19日
沢樹舞沢樹舞

今年最初の畑の日。
雲ひとつ無く、風も無く、ダウンを来たまま作業をすると汗ばんでしまうほど。
これまで暖冬というものを何度も経験したけれど、ここまで寒くない冬は記憶にない。
おかげで、楽しみにしていた白菜やきゃべつは、虫に食い荒らされて散々だった。
その代わり、大根は、三浦も青首も、びっくりするくらいよく育ってくれた。
普通なら頭を握って引っ張れば「スポッ」と抜ける大根が、
腰を入れて、歯を食いしばり、やっとの思いで引っこ抜く。
それもそのはず、土の中から現れたのは、太ももよりも立派な大根!

大根というのは、そもそも「太い」野菜ではなかったそう。
だから大根足といえばほっそりとして白くキメの細かな肌を意味する褒め言葉だった。
ところが江戸時代に品種改良された胴太な大根が出現したことで、大根足のイメージは一気にたくましいものに変わった。
恐らくそれは武蔵の国北豊島郡練馬村で栽培が始まった「練馬大根」のこと。
首と下部が細く中央部が太い、ずんぐりとした大根だ。
わたし達が育てている三浦大根も、同様にずんぐり型の体型をしていますが、
やはり江戸期に三浦半島の在来種と練馬大根を掛け合わせて誕生したのだそうです。
でも、今ではそんなずんぐり型の大根を見掛けることは滅多になくなりましたね。
というのも、三浦大根はこの40年ほどの間に作付けが激減し、練馬大根に至ってはもうほとんど生産がされていないから。
現在スーパーに並んでいるのは、スレンダーな青首大根です。
大きくなり過ぎず、根元から先まで一直線、土からもスルッと抜ける。
日本の女性の体型が劇的に向上したこと青首大根の台頭に因果関係はないでしょうけど、
そのうち大根足といえば「すらりとした美脚」という意味になるかも知れません。

この冬は、ウチの畑のみならず、全国的に大根が大豊作。
大根は、間違いなく食卓の主役です。
今年の鍋の一番人気は「みぞれ鍋」、大根おろしが大量に使えるからでしょう。
かくいうわたしも毎日のように大根おろしを食べて、せっせと消費しています。
実は大根に含まれるイソチオシアネートという成分はすりおろすことで効果が高まり、
代謝を促進し老廃物を排出しやすくしてくれるのだそう。
そのおかげか今年は正月太りもせず、むくみとも無縁で脚もほっそり。
ありがたや、大根さまさま。

暖かい冬は大根を太らせ、それを食べたわたしは少し痩せた。
白菜やきゃべつが残念だった分を、取り返せた気分だ。
畑をやっていると、本当にいろんなことがありますね。
しんどいことも多いけど、楽しいこともたくさんある。
今年も頑張っていこうと思います。

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