たべるの

発熱する畑

2013年8月23日
高橋 忠和高橋 忠和

8月の畑の作業は、夏野菜の収穫と水遣りと雑草とり。
誰にもできることだ。

何日も雨が降らず、異常なぐらい高温の日が続いているから
畑の野菜達は、水を欲しがっているだろうな。雑草を取ってやらないとな。

ただし気温が35℃や36℃となれば、それは苦行となる。
かなり辛い作業になると分かっていて、それでも酷暑の畑へ行く。
これはむずかしいことだ。

誰にもできることだがむずかしいことだ。

最初の5分で汗はドッと出る。
カラカラに乾いた畑の土に自分の汗がボタボタと落ちていく。
落ちた先からジュッと蒸発。

今日はこういう段取りで作業しよう。
畑のあとはこうしよう。
考えていたことがみんな身体の中で沸騰して溶けていく。
暑いという感覚はすぐになくなる。
ただクラッとしっぱなし。

「ちょっと休憩しましょう」
30分しか仕事をしていないが正直ホッとする。
椅子にへたりこんでお茶をもらうと、新しい汗が噴き出してくる。

暑い時間に野菜に水をやってはいけない。
葉が煮える。水がたちまち熱湯になって、根が煮える。
真っ赤な太陽が西に傾くまで、吐息まで熱くして土にまみれる。

8月の畑は発熱しているのだ。
畑の野菜も発熱している。
畑の人も発熱している。

夏の畑。
誰にもできることだが一番むずかしいこと。

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