たべるの

川は流れる。

2011年3月8日
高橋 忠和高橋 忠和

この冬も、葉山の畑は南に広がり北に伸び、山の雑木のいくつかが刈り払われて、栗林に続く道はきれいに平坦に均されました。山水の流れが整理され、川となり用水路となって、そこに橋まで架かります。
毎週日曜日、わたしは畑に行くたびに、大きく変わる風景に驚いたものですが、石井さんに言わせれば「親父さんの時代の田や畑に、ほんの少し戻っただけ」「あそこの竹薮からこっちまで、昔はみんな段々の畑。そこの段差が隣の田んぼとの境目だったのさ」言われてみれば、当時の田や畑の姿が目にも浮かんできます。


それから30数年、畑や田んぼは野に帰り、葦やススキが生い茂り、人は通わず、川の流れも土の中へ潜んでいた。
「あれが山、あれが川。あれが空で、あれは雲」そう人は言うけれど、よく見れば、よく識れば、山も川も、姿をたえず変えてきたのですね。あの山が田んぼになり、その田んぼが野原に還り、そして今、また畑に蘇る。


カラカラに干上がった冬が終わり、葉山の山に雨が降ります。
つもった落葉に埋もれた川を掃除したら、サラサラとトクトクと山から水が流れ出す。
去年とは違う、今年の川が流れます。

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