たべるの

お仕舞いは新しい始まり

2011年2月25日
高橋 忠和高橋 忠和

私たちの田んぼからとれたお米は、その後いろんな事情で手をつけることが出来なくて、石井さんちの倉庫で、玄米の状態で年を越してしまいました。
近所の口うるさい先輩たちからは「なんだ、これっぽっちしかとれなかったのか」「こりゃ色も黒くて、ちょっと良くないな」なんて言われるし、みんなで一生懸命やった田んぼだけれど、玄米にまでした後、先に進む気力が萎えていた。

「でもね、やっぱり食べようよ」「最後まで行かなくちゃ」「餅つきしようよ」「そ、そうだね」

餅つき大会の前日に、まずは精米します。石井さんのところには精米機もあるんだよな。
精米機の上の方から玄米を入れると下の口から白米になってザーッと出てくる。
「おや、こりゃ悪くないんじゃないか」と石井さん。精米したらわりと綺麗だ。良いもち米かも。
あらためて量ってみよう。「4升あるじゃないか」「最初の年にしては上々かもね」

なんだなんだ、悪くないじゃないか。お米を研いで一晩寝かせて、いよいよ餅つき大会。

翌朝は、早くからメンバーが集まって来ました。今日を楽しみに待っていてくれた子供たちもたくさんいます。餅つき大会は石井さんの家をお借りしています。庭が人でいっぱいになるほど大勢が集まってきました。
石井牧場のよっちゃんが「イノシシの肉」を提供してくれました。
口の悪い先輩達も顔を揃えています。一升瓶でお酒を持って来てくれた人もいる。
みんなこの日をけっこう楽しみにしていたのです。

カマドに2升入る蒸篭を2段重ねて、もち米を蒸していきます。
「このメンバーで、一から餅つきは無理だからね」「ハイ」素直に認めて電気餅つき機の力を借ります。
8割がた餅になったところで「エイヤッ」臼に移す。「あっちっち、熱い、熱い」
杵をとります。「そうれ!」ペッタン、ペッタン。みんなで餅つきをしました。


つきたての餅は美味いなぁ。自分たちで作った米ですから、なおさら美味い。テーブルにみんなの手が伸びて、シンプルに醤油と海苔、ピリっと大根おろし、小豆ときな粉もあります。口に運んだ餅がグイーンと伸びます。
たべるの沢樹舞仕立ての「しし汁」も絶品だ。


「やっぱりお米をやって良かったね」「いろいろあったけど、良かったね」
「よし、今年もお米をやろう」
「おう、今年は田んぼを4倍ぐらいの大きさにして、ドカンと米を育てよう」

去年の4月に急に思い立って、みんなで頑張った米作り。
すばらしい締めくくりです。

お仕舞いは、新しい始まり。

餅つき大会からほどなくして、すでに今年の田んぼの荒起こしをしました。
今年もやります。去年より本気です。

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