たべるの

サウイフモノニワタシハナリタイ

2011年5月6日
高橋 忠和高橋 忠和

子供の頃から宮沢賢治が好きで、いくつかの詩を諳んじています。もちろん「雨ニモマケズ」も。
「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ」葉山の畑を歩いていても、口をついて出てきます。
「ヒドリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ ミンナニデクノボートヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ」あの震災のあとはなおさらに。
「サウイフモノニワタシハナリタイ」ああ、ほんとうにそういうモノに、わたしもなりたい。

ところが最近のわたしときたら、ここ1年でブクブク肥り、しかもこの2週間ほどは腰を痛めてろくろく畑仕事も出来ない。とてもじゃないが「東ニ病気ノコドモアレバ行ッテ看病シテヤリ 西ニツカレタ母アレバ行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ」なんてムリです。
そもそも「アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レズニヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ」まったくダメだ。この歳になって告白するのも情けないが「アラユルコトガ ジブンノカンジョウ ヨクミキキテワカラズ ソシテワスレル」

もうね、いっそ畑の土になれ。
明るい陽射し、涼しい風。重なり重なる山の裾野の畑の畝の、ジャガイモやソラマメの大きく育った葉っぱの影で、ただ黙々と。黙々と。
震災のあと、ずっと誰かに何かを伝えたかった。何かを伝えなくてはいけないような気がしてた。
でもそうじゃないんだよなぁ。
5月の畑は美しいです。仕事もいっぱいあります。土を触って、わたしは畑の土になります。
「サウイフモノニワタシハナリタイ」

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