たべるの

焼きりんご

2015年11月6日
沢樹舞沢樹舞

秋の果物は数あれど、りんごに特に思い入れがあるのは、
わたしがりんごの産地で育ったからなのだと思います。
実家の周囲にはりんご園と田んぼが交互に広がり、
道路には堂々と「りんごの里」という看板が立っていました。

わたしにとって、りんごとは「ふじ」か「サンふじ」でした。
地元で作っているのは主にその2種類でしたから。
ですが、大人になってから、魅力的なりんごに出会いました。
「紅玉」です。
その名の通り、真っ赤で、艶やかで、甘酸っぱくて。

紅玉は、そのまま食べるより、料理するとさらに魅力が増します。
加熱することで、生にはない、ゴージャスで豊潤な味わいを発揮するのです。
アップルパイ、タルトタタン、りんごジャム…
どれも紅玉で作るのと、そうでないりんごで作るのとでは、
明らかに到達する「おいしい」の高さが違う。

今日はとても良い紅玉が手に入ったので、焼きりんごを作りました。
最もシンプルに、紅玉のおいしさを堪能できる食べ方です。

作り方は至って簡単。

芯をくり抜き、そこにお酒(ラム酒やブランデーなど)を大さじ1、
その倍の量のお砂糖と、大さじ1のレモン汁とバターを詰め、
シナモンスティックを刺して200度のオーブンで20分。

ちなみに今回、お酒は辛口のスパークリング・ワインを使いました。
酸味が豊かなスパークリング・ワインや白ワインを使う場合は、
レモン汁は必要ありません。

ああ、焼き上がった焼きりんごの香りが、鼻腔をくすぐります。
口に含むと、甘さが押し寄せ、次に酸味が追いかけてきて、
ついつい夢中で頬張って、あっという間に平らげてしまう。
この切ない感じが、秋なんですねぇ。

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