ブロッコリーのはずが…
春到来。過ぎてしまえば、ある年ある冬の出来事としか言いようはないけれど、いろいろ起きた畑の冬だった。秋口の日照不足、台風、季節外れの雪。大根の種は流れて蒔きなおし、白菜は思うように育たず。出来のよかったプチベールやスティックセニュールは、年をこえて葉っぱを一気に食べられた。ヒヨドリの仕業らしい。
いずれも自然を受け入れるしかない修行のようなものなのだが、この冬、予想外の出来事がもうひとつ。ホームセンターで「ブロッコリー」と表示されていた苗が、ステッィクセニョールだったのだ。さらに別の苗は(これもまたブロッコリーと表示されていた)芽キャベツだったのだ。
冷静に考えれば、芽キャベツの苗、どうみてもブロッコリーとは別物なのに。葉っぱの形、違うじゃんっ!と、突っ込み入れられても仕方ないのに。何年たっても素人な私たち、表示を鵜呑み、少し育ったところで「おや?」「これって…」と気づいた。てへ。仲間といっしょに笑うしかない。
鵜呑みを反省したら、切り替えは早い。「ことしはブロッコリーを作らない年ってことで」と誰相手でもなく言い放ち、目の前の作物を、愛でる、育てる、味わいつくす!終わりかけの冬に、たわわな姿を見せてくれた芽キャベツちゃんラブなのである。
まずはシンプルに、オイルソテー。蕪といっしょに。
甘味も、ほろ苦さも、香りも、濃い。芽キャベツをこんなにしっかり味わい噛みしめたの、初めてかも。いちどしっかり味わうと、がぜん遊びこころが騒ぎ出す。そうだ、キャベツの親子煮ってどうだろう(親子じゃないけど)。普通のキャベツといっしょにクリーム煮にしてみた。楽しいぞ。
そして目うろこの美味しさ、炊き込みご飯。舞さんに「ご飯いいよ」ときき、試してみたのだ。出汁を少し加え、いっしょに炊き上げただけ。筍ごはんや豆ごはんの、ちょっと手前の季節のごちそう、春の予感ごはん。なんとも滋味深く、爽やか。知らなかった味との出会いは、ご褒美だ。
旬は短い。すでに芽キャベツは名残の収穫。春到来である。
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