寄せて上げる、得意です。
人類の農耕は、穀物からはじまった。やっぱり基本は腹をみたすことだよね。たべるの菜園の穀物といえば「じゃがいも」。横浜の畑での、初じゃがいも作りは、ダイナミックにはじまった。なにせ土地確保のため、木をひっこぬく開墾からだったから。そして植え付けは、ドラマチックに、よりによって「煙霧」の日に決行。長かった冬の寒さと春の到来の狭間、そのタイミングは一時しかなく、私たちを試すような過酷な天候の日となった
時はながれて、新緑の季節。じゃがいもの葉も青々と、順調に育っているではないか。いいぞ、いいぞ。ただ、手放しに喜んでいるわけにはいかないのが、畑のたいへんで楽しいところである。
芽かき、しなくっちゃ。種芋から出る「芽」の数をしぼって、ちゃんと成長するようにするのだ。競争率を下げるってことですね。のびのび育てて、ほくほく大らかな美味しさにしようってわけだ。
土寄せ、しなくっちゃ。じゃがいもは、植え付けた種芋より、上部にできる。だからといって、種芋を地中深く埋めすぎると、芽が土からなかなか出ない。どうするか。「浅めに植え付け芽をだす→育ってきたら土を寄せ芋ができる場所をつくる」のだ。畝の回りの土を耕し、その土を中央に寄せて上げて、畝を盛っていく。追肥をしのばせながら、もくもくと、寄せて上げる。もくもくと、寄せて上げる。もくもくと…
気づけば、腰にずっしり感。ゆっくり体をのばす、心地よさ。喉をとおる冷たいお茶が、充実感を体に流し込んでいく。
このまま順調に育ってくれるといいなぁ。あ、葉っぱに虫発見。わるいけど、いてもらっちゃ困るんだよね、ぶちっ。じゃがいもが出来るまで、あともう少し。ま、いろいろあるさ。時がながれて、無事に、収穫と新じゃが料理のレポートができますように。畑は祈りの連続だ。
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